北海道工業大学木下ゼミでは、複雑系工学と核とした自律性に関する研究を行っています。従来の要素還元論とは別のアプローチにより問題解決を図ります。主な研究テーマは自律的Webサービス、コンテンツ構築、自律的eラーニングシステム、コンピュータエイディッドデザイン、ロボティクスなどに取り組んでいます。その中でも自律エージェントを複数用意し、群れを構成する群知能研究は大学院生の研究テーマとして引き継がれています。また、Java開発環境における知能構築のためのコンピュータ・シミュレーションにより方法論の妥当性を検証しています。

 

複数自律エージェントによる群行動生成

 

Masahiro Kinoshita, Takashi Kawakami, and Takafumi Oohori,: SMART CONTROL FOR COLLECTIVE AGENTS BY ADAPTIVE STRATEGIC MECHANISM , Intelligent Engineering Systems Through Artificial Neural Networks Volume 18, ASME Press, pp.183-188(2008)

リーダー、設計者、制御機構不在のシステム

たとえば、蟻や蜂は個々はそれぞれの行動規範によって行動しているが、しばしば群れを成して振舞うような集団行動をとることが知られている。

              Metal Ant群による群れ行動

このような集団にある種の知能あるいは知性が存在すると仮定して、これを理論的に解析し集団にあたかも知能が存在するような振舞いを発生させるメカニズムを解明することを目指す。ここで、注意すべきはリーダーや設計者が存在する中央集権的な環境を想定していないことである。個々は自律的であるにもかかわらず、全体として協調や連携をして振舞う群知能行動を個々の行動ルールから結果として創発するような方法論を導き出すことが重要である。その具体的な行動の例として集団としてある領域から抜け出す全体の振舞いを考える。

             Metal Ant群による脱出協調行動

マルチエージェント理論の研究分野ではひとつひとつのエージェントの取りうる状態、すなわち状態空間を複雑にすると計算量が膨大となり、実時間で計算できないことがわかっており、単純なエージェントの集団が知的な行動をとる新たな方法論が必要である。本研究では他のエージェントを含めた環境に適応して振舞う個々のエージェントが結果として群を形成する「適応プラン」を導入し群行動を獲得している。

         コレクティブエージェントのための適応システム

                群行動のメタボール表現

                  分子運動への適用

Webデザインのためのデジタルコンテンツ作成に関する研究

Webは多くの情報を与えてくれる媒体であるが、文章だけのページであればなかなか理解しずらい場合がある。そこで、イラストや写真などと組み合わせたページが必要であるが、図形を最初から作り出すことは多くの労力を要する。また、既存の素材、特に写真などは著作権や肖像権などの問題で利用しずらい。ここでは、Shadeを用いて画像を作成するための教育用システムをeラーニングとして用意し、どのようなコンテンツが理解を助ける効果があるかを議論する。

               Guitar Bridgeのshade画像

上の画像はギター用eラーニングシステムでもギターの概要を理解するために使うこともできる。

エレキギター用eラーニングシステムの開発研究

柴田将利、木下正博:アングルを考慮したコンテンツを用いたギター用e-Learningに関する基礎研究、2007年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集、旭川市ときわ市民ホール,旭川勤労者福祉会館、2007.9

コンテンツを駆使したeラーニングシステムはWeb技術の集大成

楽器奏法を習得するには多くのコストが必要であるが、教師がおらず独学で習得するような環境では「やる気」を継続することはなかなか大変である。本研究ではもともと2次元の画面であるWebページを用いて、いかに本当の教師に習っているかのような感覚を獲得するようなコンテンツを構築するかについて考察する。すなわち、Webにおける教育のためのインタフェースを構築することが目的である。ここで扱う楽器はエレキギターであり、ジャンルはロックあるいはヘビメタとする。このコンテンツが非常に良く出来たものであれば、住んでいる場所などに依存しない均質な教育を受けることができる。

     アングルを考慮したギター用eラーニングのためのコンテンツ

             複数動画コンテンツの同時制御

たとえば、上の図のような画像を理解しやすいように十分に配置することが必要であると同時にシンプルで使いやすい特徴を併せ持っていなければならない。当然ながら音や動画など、まさしくマルチなメディアを駆使したものとなる。ここで、得られた知見は他の「ものづくり」のような学習分野にも応用できる。

イラスト作成のための教材作成に関する基礎研究

石倉 亨、木下正博:イラスト作成用教材作成について、2007年度北海道工業大学卒業論文、2008.3

1枚のイラストを作成するには膨大な時間を要するが、効率的な手順を提示してくれる教材があれば、それを少しでも軽減できる。この研究では、Adobe Photoshopを用いてイラストを作成するための教材の提案を行う。

          イラスト用教材を利用したポスター

これは、教材を用いて作成されたイラストを含むゼミポスターである。このイラストは教材のノウハウを利用しても、のべ20時間を要した。

GoogleMapsAPIを用いた道案内用マッシュアップコンテンツの構築

地域を限定した各種画像のデジタルアーカイブスを用意し、これらとGoogleMapsAPIとを連動させることにより、名所や目印となる建物を提示する道案内システムを提案する。これにより、町並みのみならずその場所に関連する画像も同時に表示されるようなある種の観光システムを構築することができる。

     疑似体験ツアーシステムのためのマッシュアップコンテンツ

このシステムは建物内部の景観についても構築することが可能であり、建物内部の地図については別方法で構築する必要がある。

感性情報を用いた車選びのための支援ツールの開発

感情や感性を定量的に扱うことは極めて困難な問題である。人の意思決定過程において様々な要素を比較検討して、取るべき行動を戦略的に選択できれば、人の嗜好や好き嫌いの傾向を結果的に判断することが可能である。しかし、これら要素のスケールや要素軸そのものの特性が異なるため、一般的な理論として体系化するためには様々な解決すべき問題が存在する。要素のひとつひとつをニューラルネットワークの入力として何らかの関数を用いて発火させ、出力を得ることが考えられるが、従来のようなシグモイド的な関数で扱える対象であるかどうかは議論を要する。

自動車を購入するという問題においても、価格、性能、ボディータイプ、色、燃費など多くの要素を同時に考慮して車種を選択する。自動車に詳しい人であれば、これらに暗黙のプライオリティーを設定し順序付けと要素の大きさを決定できる。しかし、詳しくなければ、そもそも自分の好みがなんであるかさえもわからない。この研究は車選びを支援するという行為の結果として、本人さえも気づいていなかった「好み」を創発させるような方法論を提案する目的を持つ。

       「かわいい」という要因によって作られたイメージ

自動車ではその持つ形状が選択行為において重要である。当然ながら、外寸や色なども大きく形状特性に影響する。本研究では自動車の形状に着目し好みの傾向を分析することを試みる。

 

 

お知らせ

2008年4月4日

  • 新規開設しました。

2009年8月23日

  • オープンキャンパスビデオ(スナーガ)のページを掲載しました。

2009年9月5日

  • 10月3,4日のオープンキャンパスのための映像を作成中です。